カートに商品が入っていません
羽毛布団の国内販売枚数は、年間約320万枚あり、その半数がフランスやハンガリー、ポーランドなどの欧州産羽毛使用の表示が付いている布団でした。
しかし、2015年に輸入された羽毛原料の数量をみると、輸入先で一番多いのが中国で48%、次いで台湾が29%、欧州・ロシアからは17%しかありませんでした。
あれ?、これなら中国産羽毛使用の布団がもっと多くても良いはず。販売されている羽毛布団の数と輸入されている原料の産地が合わない!ということで羽毛原料の産地偽装が疑われています。 特にフランス産羽毛の表示に至っては、半分以上が偽装であると警告され、安い中国産の羽毛を混ぜたり、かさ増しされている場合があるとのこと。現時点での真偽は定かではありませんが、価格競争のための露骨なコストカットが要因だと思われます。
ずっと前から続いている悪しき商習慣
実はこのようなことは以前から公然の秘密として行われてきた部分があります。もちろん業界も是正に取り組んできたものの、相変わらずいたちごっこです。
2001年の状況を下の表でご覧ください。
2001年の羽毛原料輸入実績
この時点でも中国・台湾からの羽毛輸入量が圧倒的で、ハンガリー・ポーランド合わせても、6~7%しかありません。しかし、市場では実に多くの羽毛ふとんがヨーロッパ産と表示されていました。
産地だけでなく、ダウン率や、鳥の種類偽装までが横行していたので、日本羽毛製造協同組合(日羽協)は毎年羽毛ふとんの試買を行い中身の現状を発表する(といっても業界向けだけ)と同時に、日羽協が発行するゴールドラベルの発行停止などの処分を行ってきました。
下記は、2002年日羽協試買テストになります。
下記は、2003年日羽協試買テストになります。
このように毎年のように、ダウン率違反、羽毛表示違反がそこら中で行われてきました。ただ、産地については今回のようなテストができないために「疑わしい」としかいえなかったのです。実際羽毛の輸入先を見れば一目瞭然で、もちろん中国・台湾経由でヨーロッパ産が入ってくることもありますが、その途中が怪しいわけです。平均単価を見てもらえば一目瞭然ですね。
安かろう悪かろう
羽毛は農産物です。良いものは手間暇をかけ、じっくりと育てています。よほどの理由が無い限り大幅に 安くなるなんてあり得ないのです。しかも、良質の羽毛の量は限られています。そうでなくてもダウンジャケットなどアウターの需要が多いなかで、使う量が多く単価を安くしなければならない寝具では、量販店などで良質の羽毛を安く大量に手配できる状況ではないのだと考えます。
この報道がきっかけになって、本来の業界のあるべき姿に戻って欲しいと思います。